美濃和紙展示会@ロシア サンクト・ペテルブルグ 番外編(ロシアの魅力)
今回はサンクト・ペテルブルグの報告の最終回として私の趣味に関する記事を書きます。
その①木の小箱
昨年の10月に初めてサンクト・ペテルブルグを訪問した際に、私の心を虜にしたものがあります。それは、ひとつの訪問先で私達がロシアで販売したいと考えている商品のプレゼンテーションをしていた時のことです。関係者の一人が日本の工芸品の一つとして輪島塗の紹介をした時に、ロシアの人から出てきた言葉は「それはロシアでは売れない、ロシアにはもっと凄いものがある。」という言葉の示すものでした。知識のない私はロシアにも「輪島塗のような蒔絵があるのか?」と不思議に感じていました。その翌日だったでしょうか、訪問メンバーの一人がロシアに来たのだからマトリョーシカが欲しいとうことでしたので、通訳さんが「このお店には高いけれどとても良いものがありますよ」と案内してくれたのがロシア美術館前のお土産屋さんでした。(ここはお土産屋さんというよりも、高級ブランドショップのようにドアボーイがいるお店なのです。)なんだか厳重だなと思いつつも皆でお店の中に入って目的のマトリョーシカを見てびっくり、民芸品と思って見ていたマトリョーシカ1個の値段が日本円で50,000円位もするではないですか。通訳さんの説明によると、このお店のものはちゃんとした手描きで一つ一つ書かれているもので、安価なものの絵は印刷であったり、国外で生産されたものだということでした。(そういえば昨年に中国の雲南省に出かけたときに、なぜかお土産にマトリョーシカを販売していたな~)その説明を受けてからマトリョーシカをよく眺めると、絵の線が極めて細くて繊細なのです。確かにこの線の太さで絵を書き込んでいけば、1体のマトリョーシカを完成させるのに、どのくらいの時間がかかるのだろうと想像したら、この値段も納得できるような感じでした。
そう思いつつ別のコーナーを見てさらにびっくり、日本の蒔絵よりもっと凄いものがあるとの話が理解できました。それは「パレフ」と呼ばれる木箱(中には紙製もあるらしいです)でした。パレフはもともとイコンを描く技法から発生したらしいのですが、民話を題材にしたものや風景画など、そのお店には様々な種類の絵がおいてありました。 これらの絵の細密さがまたまた凄い、気が遠くなりそうな細い線で絵は表現されていました。ドアボーイが玄関にいるのも理解できました。お土産の領域を超えて値段も100,000ルーブルを超えるものも、もはや芸術品の領域でした。初めてサンクトを訪問する前の私にとって、ロシアはとても遠い国でした。ニュースで報道されるクレムリン前の殺伐とした風景が、私の中のロシアであり、その次にボルシチやピロシキの食べ物のイメージ程度の知識しか持ち合わせていませんでした。その私にとっては、この細密な仕事をするロシア人のイメージはまさしく想定範囲外で、かなり強い印象をその時に受けました。私はそれ以来パレフのファンになったのです。
上はぺテルゴーフ(ピヨトール大帝の夏の宮殿)で購入したもの。(学生の描いたのもだそうです)
下はロシア美術館近くのお店で購入したもの、中ほどの金色に見える部分は螺鈿です。名前のある先生の描いたもので、大きさは10×8cm程の素晴らしい細密画の作品です。昨年の10月には値段に驚いて購入できなかったので、今回は意を決して買いました。
これ以外にスパース・ナ・クラヴィー(血の上の救世主教会)で購入した、パレフの画集より引用してパレフの画像を少し掲載します。
どうですか?どれも同じくらいの大きさの木箱ですが、いろいろな世界が緻密に表現されています。
その②ロシアンモザイク
エルミタージュ美術館の中に孔雀石の間と呼ばれる部屋があります、この部屋にある暖炉や花瓶などは緑色をした孔雀の羽根の文様のような縞が入った孔雀石で作られています。最初、私はよくある大理石のもののように、孔雀石を削りだして作られているものだと思っていたら、通訳さんが「これはモザイクです」と説明をするので、目を凝らしてつなぎ目を探したのだけれど、わからないのです。それまで私の知っていたモザイクといわれるものは、ガラス片や石辺を並べて絵を作るガタガタしたものというイメージがすべてでした。目の前でしつこく見ても継ぎ目のわからないモザイクを目にするのは初めて、ましてや花瓶のような複雑な曲線を持つ立体物がモザイクで造られている事にとても驚かされました。
また、今回の渡航では昨年休館日で見ることができなかったスパース・ナ・クラヴィーの中を見学することをとても楽しみにしていました。そして、ここでも私は驚かされました。教会の中はステンドグラスで飾られているのが通常ですが、この教会の中はほぼ全てがモザイクなのです。
天井まで隙間なく貼り詰められたモザイクは圧巻です、また、ここでも隙間のないモザイクを目にすることができます。
孔雀石のモザイクのように継ぎ目がわからないことはありませんが、素晴らしいモザイクです。例えるなら、フォトショップデータを拡大した感じ、否むしろフォトショッププログラムの原点がここにあるという感じです。これだけの微妙なトーンの石を集めてカラーマネージメントする能力には脱帽です。
その③ロシアの色彩
リラ(ライラック)
パンジー
シャクヤク
ホワイト・ナイトのやわらかい光の中で育った花々は、どれも日本の花よりも透明感のある優しい色に感じました。写真では分かりにくいかも知れませんが、リラやパンジーの紫は日本で咲く花よりも純粋で華奢な中間色で、見ていて目に心地よい感じです。
ツァールスコエ・セロー(エカテリーナ宮殿)
クラシックバレーの劇場内の部屋。
今回の渡航では、合計約1,000枚程度の写真を私の愛用するSONYのT-77で撮影しました。私は通常これほど多くの写真を撮る人ではないのですがついつい枚数が多くなってしまいました。撮影した画像を後から眺めていて気がついたことがあります。サンクトの環境の中で撮影した写真は被写体が白人のものと比べて、私たち東洋人が被写体のものは全体の色のバランスが悪いのです。例えばエカテリーナ宮殿の部屋で東洋人の私を撮影したスナップショットと、同じ部屋で撮影した白人のスナップショットを比べると、東洋人の私の画像のカラーバランスは崩れているように感じます。部屋と人物が溶け込まない、一体化しない違和感を感じるのです。同じ理由で私のT-77で撮影した画像とデジカメで有名なメーカーのものを比べると、SONYのT-77は日本人ではなく白人をきれいに撮影するためにカラーバランスを組みたてているのかな?と錯覚するほど、白人を写した時の画像のカラーバランスが奇麗だと感じました。(夕暮れ時のAUTO撮影では手ぶれには弱く、ピンボケになりやすい欠点はありますが)多くの写真を撮影して、あらためて文化も環境も人も一体化しているのだという事を感じました。
てな感じて、ロシアに滞在していると色彩マネジメント感覚の鋭さをとても感じます。そういえば、今回の展示会で発表した新商品のSnowflakeには22パターンの雪の形があり、パッケージするときに使う台紙の色をすべて変えてあります。デザインをしたロシア人のVさんはこの色調を選択するときに直観的(本能的)にという感じで、即座に回答を出してくれました。(下はSnowflakeのロシア語カタログです。)
今年の秋からの発売予定です、是非手にとってご覧ください。
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (1)







































































最近のコメント